日本トルコ文化交流会 TURKEY JAPAN CULTURAL DIALOG SOCIETY

Sep01

nittoKAIは2014年9月1日~13日トルコのジャーナリスト作家財団と共催で、「グローバル時代におけるウェルビーイング:日本とトルコの対話」と題したワークショップをイスタンブールにて開催し、日本からの参加者のアテンドを行いました。

日本とトルコ両国から、ウェルビーイングの専門である学者や医者、宗教関係者が集り、「日本の仏教におけるウェルビーイングのための相互協力」「(イスラームの)熟考と自己精算」「今日の社会で若者が直面する精神的幸福の困難ー『ひきこもり』を例に」「日本トルコ間対話の進展における、親近感の役割」「日本におけるグローバル教育の意味に関する研究」「トルコの教育制度の問題点」「海外のトルコ人学校―アフガニスタントルコ人学校の例と女子児童教育の影響」などについて発表が行われました。
ワークショップの後には、日本側から茶道、トルコ側からエブル・アートのデモンストレーションが行われました。


日本からのご参加者は以下です:
テンプル大学助教授 堀口佐知子 先生
慶應大学理工学部助教授 井本由紀先生
正安寺 副住職 酒井仁 様
茶道裏千家 中村美希 様

トルコ側からの参加者:
ジャーナリスト作家財団 事務局長 アフメット・ムハッレム・アルトゥー氏
カルタル・ヤヴズ・セリム病院 精神分析医 マヒル・イェシルダル医師
ファーティヒ大学教育学部助教授 ムスタファ・バハル 先生
ファーティヒ大学教養学部助教授 セミハ・トパル 先生


参加された方のご感想:

「9月1日から13日まで、nittoKAIのスタッフ一人の企画でトルコに行ってきました。前半は井本由紀さん、酒井仁さん、中村美希さんと主にイスタンブールでご一緒し、中村さんと数日の古都ブルサでの珍道中を経て、後半はメディアワークショップを見学させていただきました。10年以上ぶり2回目のトルコ訪問になりましたが、観光メインだった前回の貧乏旅行と大きく異なり、現地の方々とのさまざまな出会い、そして深い学びに満ちた感動的な旅となりました。

今回の旅が特別だったことのひとつとしてまず、私たちだけのためのプログラムを用意してくださったことがあります。nittoKAIから当初旅のお誘いを頂いたときにはどんな旅になるのか想像がつきませんでしたが、参加メンバーの数々のわがままをきいてくださいました。おかげさまで、9月2日にはボスフォラス海峡を見渡すジャーナリスト作家財団の贅沢なセミナールームでメンタルヘルスと宗教、内観、グローバル教育のテーマについてともに学び、ディスカッションする機会やお茶をご一緒する機会をいただきました。また、5日には素晴らしいガイドの方の導きで待望のエファソス遺跡観光の機会をいただきました。さらに、私のように大学関係のお仕事をされている方、メンタルヘルス関係の仕事をされている方をはじめとして各方面で生き生きとお仕事されている女性に、さまざまなところでお目にかかる機会もいただきました。こうした出会いから、仕事も家族も大切にしながら女性らしく生きるヒントをいただいたように思いますし、日常的に内省し感謝することで日々の生活に軸と喜びが生まれるということを学ばせていただいたように思います。また、よき同業者で友である井本さんの誕生日の3日には、井本さんが長年嗜んでおられる音楽とモダンアートに触れるとともに、ボスフォラス・クルーズとボスフォラス海峡を見渡すレストラン(花火も見えるというおまけつき!)でお祝いをご一緒でき、よい思い出となりました。

イスタンブールやイズミールでご家庭を訪問し、美味しい夕食をご馳走いただく機会に恵まれたことも、ガイドブック的な旅行では味わうことのできない貴重な経験となりました。2日にお邪魔したイケメン美女ご夫婦のお宅ではトルコ語の問題から福島の現状について語り、イズミールのお宅では親日派の大家族にお迎えいただき、日本とトルコの歴史的つながりについて伺いました。今回の旅の立役者の地元にあるおばさまのお宅や、よくご家族といらしたという公園のカフェでトルコ茶を飲みながらご家族の思い出を伺ったのもよき思い出です。ワークショップでお邪魔した大学や機関でもそうでしたが、どちらに訪問しても、地域の名産などとっておきのものを手土産に持たせてくださるご配慮も心に沁み入りました。

10日~13日は、日本に住んでいたことのある新婚のご夫婦のお宅にホームステイする機会もいただきました。イスタンブール郊外の素敵なマンションにお住まいのご夫婦は、非常にお仕事で多忙にもかかわらず、お食事とおしゃべりをたびたびご一緒してくださいました。イスタンブールにつきものの渋滞の中、ワークショップ会場や空港まで快く送ってくださり、タクシーの運転手に騙されないよう電話でお話してくださいました。さらに夜勤空けのお休みの日に1日イスタンブール観光に連れて行ってくださったり、ご主人のお父様にケバブ・ランチをご馳走になってしまうこともありました。家の中では靴を脱いで生活したり、ちゃぶ台のような低いテーブルを囲んで夕食をご一緒したりというところは日本の生活習慣と重なるところがありましたし、はじめてお会いするお2人なのにやはりとても自然体で接してくださったおかげで、長年の友人のお宅にいる気分でくつろいで過ごさせていただきました。

今回の滞在を通して、急速な経済発展を遂げているトルコの若さとエネルギーを肌で感じるとともに、イスラム教の伝統に裏付けられた文化の深さや精神性の高さにも触れることができました。地理的には遠く、宗教的背景の異なる2国ですが、ともに、アジアとヨーロッパの接点という側面を持ち、伝統と西洋化・近代のせめぎあいを経験してきた国、またそうした歴史的背景から豊かな食文化を持つ国として、多く学びあえるところがあるように改めて思います。メディアでは「イスラム国」や政治経済の問題など、トルコを含めた中東地域のごく限られた側面がセンセーショナルに取り上げられがちな今こそ、国境や宗教を越え、人間としての対話を重ねて学びあう機会を多くの人が持てることを願ってやみません。

ワークショップ、ご家庭訪問、観光、名店でのお食事と盛りだくさんなスケジュールで、途中のイスタンブール観光では体力が続かず脱落してしまいガイドの方やエブルさんにご迷惑をおかけしてしましたが、このような濃い旅を個性があってあたたかい、素晴らしいメンバーとご一緒できたことに改めて感謝申し上げます。こうして振り返っていると、旅の間にお会いした方々おひとりおひとりの慈愛に満ちた笑顔が思い出され、涙が出てきそうになります。そして何より、何から何まであたたかくお世話してくださったnittoKAIスタッフには感謝してもしきれません。トルコでいただいたご縁を大切にし、トルコで学んできたことを多くの人に伝え、また内省・慈愛・奉仕の精神を自ら実践しつづけることで、少しでも今後恩返ししていけたらと思います。
(堀口 佐知子 様より)



「トルコでお茶を披露するというのはいかがでしょうか。」
お誘いをいただいて、2014年8月31日、私はお茶のご縁に導かれるように16日間の日程でトルコへ向けて出発した。
旅の前半、私は「ジャーナリスト作家財団」(イスタンブール)、「 Izmir Cultural Dialogue Center 」(イズミール)、「CABADER / 働く女性の会」(イスタンブール)の3か所でお茶を点てた。
一期一会というように、トルコではそれぞれのお茶会で特別な感動を味わった。いずれの席も人の温もりと温かい眼差しに満ちていて、すべてを包み込んで温かく見守るような視線を360度から感じてお茶を点てるのは、とても神秘的な経験だった。ボスポラス海峡の青い空と水面に向かってお茶を点てるとき、全身にあふれるような感謝の気持ちだけの感覚になった。それは私がこの旅を通して魅せられたトルコの人々の内面の豊かさ、懐の深さによって引き出されたものだったのかもしれない。
トルコ伝統音楽の歌手イェシルダルさんは、お茶のお礼にと言ってその場で素晴らしい歌声を披露してくださった。
イズミールでは、席の終盤に「明日結婚する友人のためにぜひ一服点ててほしい」と所望された。その女性の幸せを願って点てたお茶を手渡すと、「テシェックルエデリム(ありがとう)」と言って受け取ってくれた。
「働く女性の会」を訪れたとき、私たちはまず温かい手料理をごちそうになり、打ち解けた雰囲気のなかでお茶席に入った。美味しいお料理と、食後に一服のお茶。心の通う茶事そのものだと思った。終わったとき、傍らでおままごとをしていた幼い女の子が、「はい、これは私が点てたチャイ(お茶)」と言っておもちゃのお茶碗を私に差し出してくれた。
トルコの皆さまと、日本からこのプロジェクトに参加し忘れがたい旅をご一緒させていただいた仲間とともに、お茶を通じて素晴らしい時間を共有することができた。未熟な私がトルコで一服のお茶を点て、「お茶会」と呼ぶべき幸せな経験ができたことを、この旅で出会ったすべての方と、日本トルコ文化交流会で企画から全面的に協力し支えてくださったスタッフに、心から感謝したい。
お茶のご縁で訪れたトルコ。人々の善意に導かれるように様々な出会いに恵まれ、すっかり魅せられた。
女性たちが祈りを捧げる傍らで着物に着替え、蒸し暑い部屋では妊婦さんが帯絞めを手伝ってくれたこと。いつしか女性たちが取り囲んで着付けの様子に注目していたこともあった。ハマムで地元の人の背中を流したことも、垢すりしてくれた女性と裸で抱き合って挨拶をしたことも、酢漬けの唐辛子をかじってむせたのも、トルコをどんどん好きになる時間の中で味わった愛すべき経験だった。
「トルコ人は宣伝が下手なんです、トルコ人は商売が下手なんです。」
イスタンブールで観光ガイドをしてくれたムスタファさんは、チューリップを世界で最初に庭で育てたのはトルコ人だったと教えてくれた。それを見たオランダ人が自国に持ち帰ってビジネスにしたのだという。
トルコの豊かな魅力は、訪れた人にしかわからないものなのだろうか。たっぷりともてなされる美味しいお料理、穏やかな笑顔、そして1日に5回、神のまえで静かに内省し、より良く生きようと日々努力する尊い精神を持つ人々。「宣伝が下手だ」ということさえも、美徳に思えてくる。
トルコで出会った人たちは、必ずこう言ってくれた。「必ず、少なくともあと5回か10回は私たちのところに来てね。トルコに来るときは、必ず私の家に泊まってください。」
また何度でも、抹茶と茶筅を持って会いに行きたい。インシャアッラー。
(中村美希 様より)


トルコのサイトでの報告:

http://www.gyvkadinplatformu.org/Haberler/Detay/2841/T%C3%BCrkiye-Japonya%20Diyaloglar%C4%B1nda%20refah%20kavram%C4%B1%20sorguland%C4%B1

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