ノーベル文学賞にパムク氏、トルコ人初受賞 ─ 異文化の衝突描く
【読売新聞】 2006/10/13
【ストックホルム=本間圭一】スウェーデン・アカデミー(本部・ストックホルム)は12日、2006年のノーベル文学賞を、トルコの作家オルハン・パムク氏(54)に与えると発表した。トルコ人の同賞受賞は初めて。同アカデミーは授賞理由として、「異文化の衝突と混合の新たな象徴を見いだした」と指摘し た。賞金は1000万スウェーデン・クローナ(約1億6600万円)。授賞式は12月10日、ストックホルムで開かれる。
パムク氏はイスタンブール生まれ。1982年にデビューし、17世紀のイスタンブールを舞台にした「白い城」(85年)で国外でも評価を高め、「黒い書」(90年)や「新しき人生」(94年)ではトルコの古い文化を描いた。西洋と非西洋の文化の違いを描いた「わたしの名は紅(あか)」(98年)、イスラム原理主義と世俗主義との対立を示した「雪」(02年)は日本でも翻訳されている。
昨年2月、スイスの新聞紙上で、オスマン・トルコ帝国末期の第1次大戦中に起きた「アルメニア人虐殺」を認める発言を行い、トルコ当局から国家侮辱罪で起訴され、国際的な抗議運動が起きたこともある。