日本トルコ文化交流会 TURKEY JAPAN CULTURAL DIALOG SOCIETY

Oct10

日本の大きな社会問題の一つである、自殺問題について研究している専門家3名を招いて、トルコツアーを行いました。

ご参加頂いたのは、自殺対策への積極的な活動をされているNPO法人ライフリンク代表の清水康之さん、NHKで社会問題を取り上げた組制作を担当されている大福由希子さん、慶應義塾大学で自殺と宗教を研究されている小牧奈津子さんです。

ツアーでは、PASIADやジャーナリスト作家財団でDifferent Perspectives on Suicide:Turkish and Japanese Examplesと銘打ったワークショップに参加したり、人道支援NGOキムセヨクムを訪問したり、大学で講演を行ったり、中学校を訪問したり、両国の自殺問題の状況について報告し合い、解決策を探りました。
その様子は、現地の新聞やテレビ局などからも取材を受けました。

旅行の終盤には、トルコの世界遺産カッパドキアやシャンルウルファなどの観光もお楽しみいただきました。


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トルコの新聞記事

「日本人が自殺防止のためトルコで調査」 (ゼィネップ クルシャン‐2012年10月27日)

日本では毎年約3万人が自殺をしている。ある専門家が、自殺防止のための非政府組織を設立した。

2006年以来このテーマに取り組むチームがトルコを訪問した。イスタンブールで様々な社会学者、心理学者や学術的神学者と議論を持った日本の専門家は、課題についての情報収集を行った。専門家であるコマキナツコ氏は、「トルコ人の宗教に対するしっかりした理解、親族との結束が、トルコ人を強くしている。そのため自殺を考えない。」と分析した。

日本の公共放送NHKのディレクターのオオフクユキ氏は、トルコ人の創造主と家族とその他の人々との関係により自殺がより少ない、と話す。

自殺が社会問題となっている日本では、自殺防止に努める専門家は、問題の原因には信仰の違いもあると語る。この理由により、人々が経済や健康のような多くの課題に直面した時、最良の解決策は逃げることだ、と強調している。イスラム教の教えのモットーは、まず自らが適応し、その後に社会にも広まることを求めると記すコマキ氏は、慶応大学で「イスラム教と自殺」のテーマを研究している。テレビやラジオで宗教関係の番組を制作するオオフクユキ氏は、トルコでの自殺現象が日本に比べて少ないことについて、3つの点に集約する。「一つ目は神様との関係、二つ目は顔族との関係、三つ目はその他の人々との関係である。」ディレクターのオオフク氏は、「イスラム教の僕とアッラーの関係を直接的に説明できないにせよ、家族とその他の人々との関係をベースにして我が国の人々に対して何かできると考えている。」と付け加えた。専門家の中に、かつてテレビ番組ディレクターだったシミズヤスユキ氏は、自殺した人々の家族についての番組制作に携わっていた時に離職し、自殺現象を止めるために非政府団体を組織した。NPOライフリンクの創設者で代表のシミズ氏は、自殺現象の様々な理由があることを記している。これらの第一は経済的理由であると明かすシミズ氏は、仕事が見つからない、解雇されるなどの理由での自殺が大部分であると話す。
シミズ氏は、「日本社会では、男性は力があるというプロフィールを描かなくてはならない。
そのため社会の中で孤独感を抱く男性が、誰かに相談し悩みを分かち合うことができない。そのため、自殺者の60%が男性を占めている。この内の70%が40-60代の男性である。当人は25-30年間務めた会社から捨てられれば、住宅ローンの支払いが不可能になり、借金をするようになり抑鬱状態になる。うつ病になり他の方法が見つけられず自殺する。死亡すればローンの負債を家族が背負わないことを知っている。少なくとも家族に家は残せると考えている。」と話す。シミズ氏は、幸福のために金儲けと所得水準を高めることが目標となった国では、伝統的な価値を保護し生活することが、非常に重要であると主張する。

毎年増加する自殺に対し特別な省庁を設置

日本は、世界的に自殺の割合が最も高い国の一つである。これは、日本の歴史において自殺が罪であり誤った行為であると理解されていなかった影響が大きい。そのため、自殺が人々の間で名誉と責任のある人間の行為とみなされている。日本は自殺現象が1996年以降次第に増加している。14年間毎年3万人以上が自殺している。統計によると昨年は30513人の自殺者がいる。この数のうち20867人が男性である。

専門家によると、ライフリンク創設の2006年より継続する活動の成果により、今年の自殺者数が昨年に比べ28000人に減少すると期待される。そして自殺に対しる特別な省庁を設置した日本政府は、学校教育や医療機関のサービスとして、自殺防止のあらゆる支援を準備している。

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