第17回セミナー「深刻化する自殺問題を考える」
今回は、在日歴の長いnittokaiのトルコ人スタッフたちも、長年の謎であり、心を痛めているテーマである、日本ではなぜこんなに自殺・自傷者が多いのか、という問題についてセミナーを開催しました。
今回は、
NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」代表で、自殺防止や遺族のケアのために数多くの活動をなさっている清水康之氏、子供たちの自傷について取材され著書のある毎日新聞夕刊編集部の小国綾子氏、そして僧侶の立場から自殺対策にとりくまれている、臨済宗建長寺派独園寺の藤尾聡允 副住職にお話しを頂きました。
清水氏は、様々なデータをもとに自殺は個人の問題ではなく、社会が対策を取ることで解決できるという事を強調されました。しかしながら、自殺は複数のネガティブ要因が重なることで起きてしまうが、現状ではその複数の要因を解決する窓口が分散されている為、自殺を回避しにくくなっている点も指摘されました。
小国氏は、誰もがふとしたきっかけで痛みを癒しにしてしまうことがある事を自身の体験談もまじえてご説明くださいました。リストカットや薬物摂取などの自傷行為が、やがては自殺へとエスカレートしやすい事や、先進国だけの特殊な現象のように思われているけれども、実は世界のどこの地域にでも自傷という行為は存在することも興味深い点でした。
藤尾副住職は、日本に仏教についてと、仏教からみて自殺とは、という点についてもご説明くださいました。仏教のありのままを受け入れる姿には、ムスリムからもイスラームと共通する部分があると感心した参加者もいたようです。
質疑応答の時間には非常に多くのご質問を受けました。皆様の関心の高さが伺えました。
自殺、自傷というととかく暗いイメージを持ってしまいがちで、思わず顔をそむけたくなってしまうテーマですが、毎日のように電車で人身事故やニュースでうつ病による自殺などを日々耳にする私たちにとって、避けては通れない、もっとも身近な社会問題の一つです。
このような機会に、皆さまとセミナーで事実を知り、意見交換ができ、大変有意義な時間を持てましたことを感謝いたします。